従業員が数十名までの会社では、IT や AI の専任担当を置くのは難しいものです。実際には、総務や経理の担当者が、パソコンの設定からシステム選びまで兼任していることが多いでしょう。
システムの導入や AI の活用を考える段階になると、判断を求められる場面が増えます。ベンダーから出された見積もりが妥当なのか、そもそも今それを入れる必要があるのか。そうした相談を社外の専門家に持つ選択肢について、考え方を整理します。
相談相手に頼めることと、頼めないこと
外部の相談相手に期待できるのは、主に次のことです。
- 提案や見積もりの内容を読み解き、気になる点を質問に直す
- 複数の選択肢を比較し、判断の材料を整理する
- 今取り組むべきことの優先順位をつける
- 社内の担当者が、判断や実施に困ったときに答える
反対に、相談相手が代わりに行えないのは、会社としての意思決定です。どのシステムを使うか、いくら投資するかを決めるのは、あくまで経営者です。相談相手は材料を出し、決める人は自社です。ここを曖昧にすると、相手に任せきりになり、結果に責任を持つ人がいなくなります。
頼み方を決める:定期と随時
相談を依頼する形は、大きく分けて次の2つです。
- 定期の相談:月に1回など、日程を決めて話す。状況を継続して把握してもらえるため、背景を毎回説明する手間が減る
- 随時の相談:困ったときに、チャットやメールで聞く。急ぎの確認に向く
両方を組み合わせるのが現実的です。定例の場で、次の月までにやることを決めておくと、日々の小さな疑問は随時の相談で片付けられます。
依頼の前に、社内で次のことを決めておくとスムーズです。
- 相談の窓口になる社員(1人)
- 相談してよい範囲(システム選び、AI の活用、ベンダーの対応など)
- 共有してよい情報の範囲(契約書、社内の資料など)と、秘密保持の取り決め
相手を選ぶときに確認すること
誰に頼むかは、次の点を確認して決めます。
- 特定の製品を売る立場ではないか:特定のツールや会社の販売に関わっていると、提案が偏る場合がある。関わりがある場合は、その事実を明かしてもらう
- 説明が分かりやすいか:専門用語を使わず、判断に必要なことを説明できるか。最初の面談で確認できる
- 現場に入って話を聞いてくれるか:書類だけでなく、実際の業務を見て提案するか
- 契約の範囲と費用が明確か:期間、頻度、費用に含まれるものと含まれないもの
最初から長い契約にせず、3か月などの区切りで、続けるかどうかを判断できる形にしておくと安心です。
見積もりやベンダーの提案を読むときの確認点
相談を持つ価値が出やすいのが、提案書や見積もりを受け取ったときです。相談相手と一緒に、次を確認します。
- 提案の目的は、自社が困っていることに合っているか
- 初期費用と、毎月・毎年かかる費用が分けて書かれているか
- 範囲外の作業(追加費用になりうるもの)は何か
- 契約を終えるとき、データを取り出せるか
- ほかの選択肢と比べたとき、何が違うのか
見積もりの金額が高い・安いは、内容を見ないと判断できません。複数の提案を並べて、同じ条件で比べることが大切です。
相談を持ち始めたら、相談の内容と、その結果決まったことを、社内で記録に残してください。議事メモがあると、担当者が替わっても経緯が分かり、同じ質問を繰り返さずに済みます。外部の相談相手が作成する議事メモを、社内の共有の場所に保管する運用がお勧めです。
また、相談相手を持つことで、社内の担当者の負担が軽くなっているかも、定期的に確認します。相談の頻度や範囲が、実態に合っていないこともあります。3か月ごとなどの区切りで、続け方を見直すと、費用に見合った使い方になっているかが確かめられます。
Renode にできること
Renode では、月1回の定例相談と、チャット・メールでの随時の相談を組み合わせた顧問の形でお手伝いしています。ベンダーの提案や見積もりの確認、ツール選びの相談、次に取り組むことの優先順位づけが中心です。大きな取り組みが見えてきた場合は、ほかの支援に切り替えることもできます。
この記事を書いた人
後藤 碧(Renode株式会社 代表取締役)。中小企業の業務整理、AI の試験導入、業務システムの見直しを、現場に入って支援している。