共有フォルダが何年も使われていると、「最新版がどれか分からない」「似た名前のファイルが複数ある」「前任者しか場所を知らない」といった状態になりやすくなります。探す時間が積み重なると、業務の負担になります。
整理の際、フォルダ構成を最初から作り直そうとすると、たいてい途中で止まります。この記事では、探される資料から順に手を付ける方法を紹介します。
まず、何が・誰に・どのくらい探されているかを聞く
整理する対象を決めるために、各部署の担当者に聞き取りをします。聞く内容は、次の3つです。
- 最近1か月で探した資料は何か
- 探すのに時間がかかった資料は何か
- 見つからなくて、別の人に聞いた、または作り直した資料はあるか
ここで挙がった資料が、最初に整理する対象です。数としては、各部署で5〜10件に絞れば十分です。共有サーバー全体の資料を一度に整理しようとしないことが、続けるための前提です。
置き場所・名前・最新版のルールを決める
対象の資料が決まったら、次の3つのルールを決めます。
置き場所:資料の種類ごとに、置く場所を1か所に決めます。「見積書は営業部のフォルダ」「契約書は総務のフォルダ」のように、部署や種類の単位で十分です。コピーを別の場所に置かない、ということも併せて決めます。
名前の付け方:ファイル名に入れる項目と順番を決めます。例えば、「日付_取引先_資料の種類_版」の順にそろえると、並べ替えるだけで探しやすくなります。日付は 20261111 のように桁をそろえます。
最新版の扱い:版が複数ある資料は、最新版だけを置く場所と、古い版を移す場所(過去版フォルダなど)を分けます。「最終」「最終2」のような名前を避け、版の数字で管理します。
ルールは A4 の紙1枚に収まる量にします。長いと誰も読みません。
移行する資料と、手放す資料を分ける
すべての古い資料を新しいルールに合わせて直す必要はありません。次のように分けます。
- 現在も使う資料:新しいルールで置き直す
- 参照する可能性がある資料:まとめて「過去資料」に移し、ファイル名は直さない
- 保存期間が定められている資料:法令や社内規程に従い、期間が過ぎたら処分する
- それ以外:削除してよいか、持ち主に確認する
削除は、持ち主の確認なしに行わないでください。一定期間は「削除予定」フォルダに移して様子を見る方法が安全です。
検索を助ける工夫と、AI の使いどころ
置き方を整えた上で、検索を助ける工夫を加えます。
- 資料の一覧表(表計算ソフトでよい)に、資料名、置き場所、持ち主、更新日、簡単な説明を書く
- よく聞かれる質問と、その答えの載っている資料の場所を、FAQ として1ページにまとめる
- 社内の資料を対象にした検索や質問応答の機能を持つツールを使う場合は、対象にする資料の範囲と、見てよい人を先に決める
最後の点が重要です。人事資料や取引条件など、見る人を限る資料まで検索の対象に含めると、意図せず見えてしまうことがあります。ツールを入れる前に、アクセス権の整理を済ませてください。
整理を続けるための運用も、最初に決めておきます。月に1回、15分ほど、各部署で「新しく作った資料がルールどおりに置かれているか」を確認する時間を取ります。長くは続かなくても、最初の3か月が肝心です。それを過ぎると、新しい資料は自然とルールに沿って置かれるようになります。
また、資料の持ち主が退職・異動したときに備え、資料一覧表の「持ち主」欄は役割(部署名や担当名)でも書いておくと、引き継ぎの際に困りません。ルールを守れていない場合は、責めるのではなく、ルールが分かりにくくないかを先に疑ってください。
Renode にできること
Renode では、探される資料の聞き取り、置き場所と名前のルールづくり、移行の段取り、検索ツールを導入する場合の対象範囲と権限の整理までを一緒に行います。規模の小さい会社では、一覧表と FAQ の作成から始めることも多くあります。
この記事を書いた人
後藤 碧(Renode株式会社 代表取締役)。中小企業の業務整理、AI の試験導入、業務システムの見直しを、現場に入って支援している。